THE BOYS&GIRLS(通称ボイガル)のツアーファイナルが延期になったものの、飛行機をキャンセルできなかったので、予定通り4日間、札幌に行ったら、ボイガルをさらに好きになってしまった話。ファンの日記。
《出発前》2023年11月8日水曜日
札幌公演の延期のお知らせがあった翌日、札幌行きの中止を決めないと、と思いながら、昼ごはんのパスタを茹でていた。沸騰するお湯を眺めながら、(ライブがないにしても、雪虫がいるかもとか、初雪が降るかもとか、そういうのも楽しみにしてたんだよな~)と考えたりしていた。
(雪虫って次に見られるの1年後か。でも、札幌の初雪にタイミングよく遭遇する方が、雪虫に会うことより更にハードルが高い気がする。初雪かもって予報が出てて、キャンセルできない航空券を持ってるこの状況って、もはや運命…?)
「ピピピ!」とタイマーが鳴って、火を止めた。ざるでパスタのお湯を切りながら、今回はボイガルではなく、雪虫と初雪に会いに行く札幌遠征にしよう、と心に決めた。あと、自転車も乗りたい。雪が積もったら乗れないから、今の札幌で。『すべてはここから』のMVを見てから、筆者はずっと札幌の街中を自転車で走ってみたかった。
《1日目》2023年11月9日木曜日
新千歳空港から、快速エアポートで札幌駅を目指した。車窓を眺めながら聴いた『涙の車窓から』が少し苦しかった。でも、悔しさの滲むボイガルの曲って、たまらなくかっこいいんだよな。
すすきの付近で友人と集合し、今晩の宿へチェックイン。夕方はベッシーホールへKOTORIのライブを見に行った。元々はボイガルとのツーマンだったが、出演キャンセルにより、KOTORIのワンマンとなった。めちゃくちゃかっこいいライブだった。ボイガルのライブで見かけるお客さんたちの顔を見られたのも、なんだかほっとした。
ライブ後は、友人らと“もぐらのあな”という配信番組にゲスト出演していたあっこさんのおんど食堂へごはんを食べに行った。ボイガルのグッズを着ていたから、すぐにファンだと分かったようで、あっこさんやその場にいた常連さんが声をかけてくれた。
体調不良で今日のライブが出演キャンセル、明日のライブが延期になったことも伝わっていたようで、「あいつ~~~!(笑)」と笑っていた。親しい人ならではの、「あいつ~~~!(笑)」のかんじが面白かった。ごはんもおいしくて、気持ちが明るくなる場所だった。
友人らと宿へ戻った後は、部屋のテレビをスマホと連動させて、ボイガルの映像をずっと流していた。小さな音で流れ続けるボイガルに安心して、3人ともいつの間にか眠っていた。
《2日目》2023年11月10日金曜日
チェックアウトすると朝から雨が降っていたから、傘を買った。荷物を預けるため、次の宿に一旦行くと伝えると、友人らが宿までついてきてくれた。今日は一人行動をすると自分から言っておきながら、別れ際はなんとなく離れがたい気持ちになった。でも、大丈夫。また会える。
友人らと別れた後は、喫茶店でピザトーストを食べて、北海道大学まで歩いた。イチョウ並木が綺麗だったが、びっくりするくらい銀杏が落ちていて、足の踏み場がなかった。
大学の敷地内や周辺を散策したが、ずっと雨だった。雪虫もいなかった。位置を確認しようと、スマホでマップを開いたとき、画面に雪虫みたいなのがぺちょんと付着したが、白いもふもふはついていなかった。ただのアブラムシしか、もういなさそうだった。
日の落ちる空気を吸い込み、すすきのの宿を目指して歩いた。雨の中、ビニール傘越しに見る札幌の街。耳元のイヤホンからは『くだらない雨』。この気温や湿気や雨に濡れた地面をしっかりと覚えておこうと思った。
宿で夜を迎えると、いつの間にか雨は上がっていた。筆者には、札幌の夜に行きたい場所があった。月寒公園。
シンゴさんのブログで、「月寒公園とかだったら、きれいに星見えるかな。あとで行ってみようかな。」という文を見てから、良い名前の公園だなと思って印象に残っていた。“月寒公園で星を見る”ってなんだか良い。漢字の並びが綺麗だ。
宿を出て、中島公園を通り、幌平橋へ。アーチの頂上から豊平川を眺めると、不思議と気持ちが落ち着いた。頂上から見ると、川も、街も、風も、ぜんぶが大きいからこそ、心も受け止めてもらえたような感覚になる。アーチを降りて、豊平川の水面のすぐそばの段差に座った。
水面の近くはさすがに風が強くて、すぐに離れたくなったが、ボイガル公式から、ちょうど『みはるの頃』の動画公開のお知らせが届いた。川の流れる音を聞きながら、その場でしゃがんで動画を見た。あまりにもかっこよくて、眩しかった。ボイガルって本当に良いバンドなのだ。
一息ついて立ち上がり、月寒公園を目指してひたすら歩いた。夜の月寒公園はがらんとしていて、丘が広がっており、暗かった。かなり心細い気持ちになりながらも、丘のてっぺんを目指した。
てっぺんには長いすべり台があって、(スペシャル遊具じゃん…)と思わず口に出た。北海道ってこういうところが凄い。何の気なしにふらっと行った公園がめちゃくちゃ広かったり、遊具が立派だったり、紅葉が綺麗だったり。
雨が上がったところだったので、雲も多くて、歩いているときは星があまり見えなかったが、すべり台の上からなら見えるかもしれない。手すりを掴んで、すべり台の階段を登った。
月寒公園の丘のてっぺんにある、すべり台の一番上。空を見上げると、星がたくさん出ていて(すごい…)と声が漏れた。星、ここにあったんだ。
空を見上げながら、星にまつわる曲を何曲か聴いた。そして、最後はボイガルから1曲聴いてから、帰ることにした。(ボイガルの曲で星…)と少し考えて、思い浮かんだのは『ハローグッバイサンキュー』だった。
この曲には、「真夜中にひとり星を眺めてる 向こう側で花火が打ち上がる 月がいつもより眩しすぎるから 北斗七星が星三つ」という歌詞がある。
スマホを開き、その場で北斗七星の探し方を調べた。まずオリオン座を見つけて、オリオン座は南の空に出る星座だから、その逆の空が北の空。北斗七星は北の空に出る星座だから、そのあたりに出るはず…と、しばらく空とにらめっこ。
でも、見つけられなかった。そもそも北斗七星が見られる季節ではないのだろう。仕方がないので、北斗七星があるかもしれない北の空を眺めながら、『ハローグッバイサンキュー』を聴いた。
出だしから元気いっぱいで、思わず笑顔になった。ライブのない夜にボイガルを聴くのは寂しくなりそうだったから、月寒公園まで歩いている間、ボイガルは聴いていなかった。シンゴさんのツイキャスのアーカイブ(路上で歌っている回)をずっと聴いていた。シンゴさんの路上での選曲は、ボイガル以外のアーティストが多いから。
だから、星を見ながら『ハローグッバイサンキュー』を聴いて、自分の顔が綻んだとき、とても嬉しくなった。やっぱり筆者を一番笑顔にできるのは、ボイガルの音楽だ。
「さみしくなった時はこの歌を」という歌詞に深く頷いた。今後この曲を聴くとき、筆者はきっと、月寒公園のすべり台の上から眺めた星空と、11月の冷たい空気を思い出すだろう。
時刻は23時前。さすがにそろそろ帰った方が良い。また1時間歩く気にはなれなかったから、長いすべり台を一度だけ滑って、月寒中央駅まで走り、電車に乗った。この駅の名前も結構好きだ。
あとがき
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。ここからが面白くなるところなのですが、文量が多くなってしまったので、後編に分けることにしました。4日間滞在すると、書きたいことだらけです(笑)良かったら後編も読んでいただけると嬉しいです。
正式なあとがきは後編の最後に書きたいと思いますので、ここでは是非見ていただきたいボイガルの動画をご紹介します。
まず、筆者が豊平川でしゃがみ込んで見た動画はこちらです。『みはるの頃』という曲が流れています。良かったら見てみてください。
https://youtu.be/Ztson4uyMBU?si=80CwrRCuO0znaaP-
今回の記事で取り上げた『ハローグッバイサンキュー』という曲のMVはこちらです。歌詞付きなので、良かったら見てみてください。
https://youtu.be/Vc0cjXQ_suM?si=YMldquDALJpV7soR
それではまた、後編で。
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