時速36km“Dead End/Live Forever”Tour【w/kao】ライブレポ

2022年2月20日(日)に宇都宮HELLO DOLLYにて開催された時速36kmの対バンツアー。ゲストは前身バンドである街人の頃から親交のあるkao。忘れたくない記憶をここに残します。

もくじ

1.はじめに
2.kaoライブレポ
3.時速36kmライブレポ
4.まとめ

□1.はじめに

<kaoについて>
kaoはこの日に1st singleを会場限定盤として発売した、結成してわずか数ヶ月のバンドです。

筆者は前身バンドである街人からのファンで、この公演にはkaoのライブを見るために参加しました。kaoを知らないまま参加した方も多かったと思いますので、このライブレポでkaoの魅力をより知っていただければ幸いです。

<時速36kmについて>
時速36kmはいろんな方からおすすめされていて、気になっているバンドでした。

サブスクのトップソングを予習した程度の知識で参加しましたが、今回の公演で完全に心を持っていかれました。沼落ちの瞬間を記録したライブレポです。時速36kmファンの方、ぜひ。

□2.kaoライブレポ

今回の公演は、2021年12月に開催されたkaoの初ライブ以降、約2ヶ月ぶりに見るライブでした。初ライブはワンマンだったので、kaoが他のバンドにゲストとして呼ばれたライブを見るのは初めてで、どんなライブになるのか、とてもワクワクしていました。

メンバーがステージに登場し、1曲目telepathから演奏がスタート。kaoがMVやサブスクを解禁している唯一の曲なので、この曲だけを予習してきた方が多かったのではないでしょうか。今回は初ライブよりも心に余裕のある状態で見れたので、考えを巡らせながら聴けたのですが、「かっこよくなったな」と心の底から思いました。kaoになってから確実に鋭さが増したような気がします。

苦しい経験を重ねたことによってクールさを持ち合わせるようになったのか、前からもっていたクールさを出すようにしたのかは分かりませんが、このクールさがロックバンドとしてのかっこよさをあげていると筆者は思います。

街人のライブを見ていたときの安心感とは違う、kaoのライブを見ているときのドキドキ。音や歌詞に込められたあたたかさが、冷たさと絶妙に混じり合う複雑な魅力に、筆者はとりつかれています。あたたかい街人も大好きだけど、あたたかさにクールさが加わったkaoはもっと好きかもしれません。まじでかっこいい。

2曲目以降はまだリリースされていない曲もあるため、曲名は不明ですが、この日に発売された1st single『plot』に収録されている「Light up」「pray song」は演奏してくれていたはず。

「telepath」の歌詞に「痛みを隠し合ってでも 僕らは触れ合っていたい」というフレーズがあって、この言葉が筆者はすごく好きです。「Light up」の歌詞をすべて英語にしているのは、痛みを隠したいからなのかなぁと思ったり。

ライブでグッと力を入れて、フロアに訴えるような目をして「僕らは触れ合ってたい」と歌う姿に心が惹きつけられます。

歌詞がすべて英語の「Light up」ですが、和訳すると「もう塞ぎ込むのには飽きたんだ」という意味の歌詞も入っています。それもまたグッときました。街人というバンドを解散したということは、解散に追い込まれるほどつらいことがあったはずで、kaoが生み出す音楽は暗い雰囲気になるんじゃないかと思っていました。でも、始動したkaoはワクワクする音楽を奏でるバンドでした。

別のアーティストですが、筆者の大好きな星野源について少し触れさせてください。星野源は集中治療室で絶望の期間を過ごしたことのある人物なのですが、病気を治して音楽活動を再開した後、どんどんポップになっていきました。インタビューか何かで、「つらいことが多すぎて、もう暗い曲しんどいなって。これからは楽しいものをつくりたい。おもしろいものをつくりたい。」という主旨の話をしていたことがあって、この発言がすごく印象に残っています。

絶望の淵を見たからこそ、楽しいものやおもしろいものへの渇望ってきっとあって、そういう人がつくる作品って本当に楽しくておもしろいものが多いなと思います。「こういうのがあったらいいな」という思いが強ければ強いほど、本当にそういう作品になるのかもしれませんね。ともさんもそういう音楽家なんじゃないかなと、kaoを見ていて思います。今回のライブでは「ワクワクさせたい」というMCもあって、その言葉が本当に嬉しかったです。

ポラリスを演奏してくれたのも嬉しかったし、最後に「必殺技みたいな曲をやって帰ります」と言って演奏された曲も大好きでした。必殺技みたいな曲、初ライブのレポで筆者が「ハッピーニューイヤー!」の瞬間に聴きたいかんじの曲、と表現した曲でした。

ワクワクの頂点みたいな曲で、本当に大好きです。この曲を「必殺技」と言っていたのも大好きでした。ワクワクの頂点みたいな曲を必殺技だと言ったこと。ともさんのやりたい音楽は、人を楽しませる音楽なんだなと思いました。この曲の音源が待ち遠しいです。

初めて見たkaoの対バンは、闘いに来ているんだなと伝わる、気合いの入ったライブで、ワンマンとはまた違った良さがありました。ともさんは本当にロックバンドで戻ってきたんだなというかんじがして、それもまた嬉しかったです。これからもいろんなライブを見続けたいです。

□3.時速36kmのライブレポ

セットリスト

1.スーパーソニック
2.アンラッキーハッピーエンドロール
3.鮮烈に
4.素晴らしい日々
5.真面
6.石神井川
7.ムーンサルト
8.ハロー
9.七月七日通り
10.夢を見ている

アンコール
11.ポップロックと電撃少年
12.銀河鉄道の夜明け
メンバーがステージに登場し、1曲目スーパーソニックから演奏スタート。ボーカル・仲川さんの歌声から始まる曲で、仲川さんの歌声が良すぎて圧倒されました。生歌が良すぎる。

2曲目はアンラッキーハッピーエンドロール。この曲は筆者が時速36kmを好きになったきっかけの曲です。筆者はネガティブな感情をバネにして、力にする人が大好きです。やるせなさや苛立ちなどのネガティブな感情が込められていながら、聴くと力がみなぎってくるこの曲に心を奪われました。バンド名は何度も耳にしていましたが、この曲のMVを見て「こんなにかっこいいバンドだったのか」と衝撃を受けたのを覚えています。

前置きが長くなりましたが、嬉しいことに2曲目、ライブが始まってすぐに聴けたアンラッキーハッピーエンドロール。冒頭からゴリッゴリで、かっこよすぎてマスクの奥で笑ってしまいました。これはずるい。かっこよすぎる。時速36kmは優しいオレンジの照明が似合うバンドだなと思っているのですが、この曲のときは赤黒い照明で、それが最高でした。

ヒーローが実は溜め込んでいたダークな部分を全部吐き出してくれたような、そんな印象。溜め込んでいた闇がぎゅっと凝縮されていて、演奏の5分間がすごく濃い時間に感じました。この曲が公開されたときに、十分すぎるくらい心は持っていかれたはずなのですが、ライブでそれ以上に持っていかれてしまいました。ベースがたまらん。

それから何曲か演奏され、サブスクのトップソングだけを聴いて参加したので、知らない曲ももちろんそれなりにあったのですが、「少しだけいつも死にたい」という歌詞が耳に思いっきり入ってきました。

筆者はamazarashiやCRYAMYなど、歌詞に暗さのあるバンドが好きです。好きなバンドの中でいうと、時速36kmはかなり明るい方だったので、この歌詞は衝撃的でした。嬉しいと言っていいのかわかりませんが、こういう感覚も持っている音楽家であることがわかって、嬉しかったです。

暗さを見せてくれる人間を筆者は信頼してしまう傾向にあります。時速36kmは信頼できるバンドなのかもしれない、思っていたよりも自分好みのバンドなのかもしれない、とどんどん惹き込まれていきました。

(ライブ後に、「「いつも死にたい」みたいな歌詞の曲がめちゃくちゃ気になったんだけど、なんていう曲?」と来ていたフォロワーさんに聞いたら、「あー!絶対好きだと思いました!真面という曲です。ずっとこの曲おすすめしたいと思ってました!!!」と言われました。彼はCRYAMYファンでもあるので、筆者の好みをよくわかっていますね(笑))

この曲をこの日に演奏していなかったら、筆者はここまで惹き込まれていなかったかもしれないので、筆者にとって真面は時速36kmと初めて手を繋いだ曲だと言えるかもしれません。

それから、MCも仲川さんの人柄が感じられるもので、素敵でした。kaoの出番でボーカルのともさんが「時速36kmの先輩として、今日はかっこいいところを見せます!」というMCをしたのですが、それに対して、仲川さんが「街人が解散して、またkaoとしてこうやって再会できたのが嬉しい、変わらず先輩でいてくれるのが嬉しい。」という内容の発言をしていました。時速36kmのファンの方が多い場で、結成したてのバンドのボーカルとして、先輩だと発言したともさんの強さと優しさも好きだし、その発言を素直に喜ぶ仲川さんの柔らかさも好きです。

仲川さんって人を安心させる雰囲気を身に纏ってますよね。ともさんも柔らかい雰囲気の持ち主なので、この2人が仲良しなのがすごく納得です。(誰目線だよ)

ライブ後半はハローを始めとしたキラーチューンが続き、ライブの盛り上がりは最高潮へ。にわかのまま参加したものの、後半は拳をあげている自分がいました。あんまり拳はあげないタイプなのですが、楽しくなって挙げてしまった!

終演後にはアンコールの手拍子が鳴り、メンバーがすぐに再登場。ステージから退場すると直接外に出るというつくりのライブハウスだったので、寒すぎてあまり外にはいれなかったようです。すぐに帰ってきた(笑)

アンコールでやる曲を決めていないということで、ステージ上でマイクを通して作戦会議。メンバー内で「アンコールは速い曲の方がいい」「いや、遅い曲の方がいい」と意見が分かれ、フロアに「速い曲の方がいい人~?遅い曲の方がいい人~?」と問いかけたところ、圧倒的に速い曲の方にたくさん挙がる手。「ほら!やっぱり速い曲じゃん!」とメンバー同士でつっこんでいる姿が可愛いらしかったです。

メンバー同士で目を合わせ、「よし、やろう!」と今にも演奏が始まりそうな雰囲気になったとき、「ちょっ、どどどどどれを?!?!」と仲川さんがめちゃくちゃ焦りながら言っていたのも、おもしろかったです(笑)かっこいいライブをするのに、実は愛嬌のある人なんですね(笑)

アンコール1曲目はポップロックと電撃少年。スカッとした気持ちになる、とてもアツくて楽しい曲でした。2曲目は銀河鉄道の夜明け。この2曲の連続であげられる、フロアのたくさんの拳が、どれも「たまらない」「だいすきだ」と叫んでいるかのようで印象的でした。コロナ禍なのでモッシュはないのに、終演後に「あつ~~~」と言ってお客さんがライブハウスから出てくるかんじもよかったです。

時速36kmのライブをたっぷり味わった気でいましたが、筆者の気づきの本番はライブが終わった後でした。帰りの電車でライブのことをふわふわと思い返していて、なんだかとても心があたたかくて、陽だまりの中にいるような気分でした。(時速36kmのライブの余韻ってすごく幸せだなぁ)と思いました。

バンドによってライブの余韻の種類は違って、「あの曲のこの部分がすごくかっこよかった!」と細かいところまで逐一思い出して興奮気味に語りたくなるバンド(climbgrow)、MCの意味を深く考えたくなるバンド(CRYAMY)、スッキリした気持ちになるバンド(ハルカミライ)など、いろいろあります。ちなみにkaoは筆者にとって、曲に込められた想いを考察したくなる&ワクワクが続くタイプの余韻をもつバンドです。

どのバンドにも違った良さがあるのですが、日向ぼっこみたいな気持ちになる余韻をもつバンドって、筆者にとっては時速36kmが初めてだったので、あたたかい衝撃がありました。生きるための新しい武器を手に入れた気持ち。人生に彩りが加えられた気持ち。

ライブの余韻がずっと消えなくて、(あれ…?もしかして自分、時速36kmのことめちゃくちゃ好きになってしまっている…?)と困惑しながら数日間を過ごしたのち、チケットを譲ってくれる友達を探し、高松公演&福岡公演に駆け付けた話は、またいつかの機会に。

□4.まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございました。kaoも時速36kmも人柄のあたたかさが楽曲に滲み出ているバンドだと思うので、筆者のようにkao目当てで参加して時速ファンになった方や、時速目当てで参加してkaoファンになった方も多かったのではないかと思います。

YouTubeで「時速36km 動画インタビュー」と検索すると、Rock isの動画が出てくるのですが、この動画で時速のメンバーがkaoの前身バンドである街人についてコメントしているので、よかったら見てください。

街人のことを「お兄ちゃんみたい」と語っていて、関係性の良さがうかがえます。街人を解散して、kaoになっても、ともさんは時速のお兄ちゃんなんだなぁと思うと、仲川さんの「変わらず先輩でいてくれるのが嬉しい」というMCのあたたかみがより感じられます。

この記事を読んでkaoに興味を持った方がいらっしゃれば、楽曲を聴くのはもちろん、kaoの初ライブのレポート記事がこのブログで読めますので、そちらも読んでいただけると、バンドの魅力がより伝わるかと思います。画面右上の検索マークからバンド名で検索してください。

時速36kmに興味を持った方には、楽曲を聴いていただきたいのですが、筆者のおすすめはアンラッキーハッピーエンドロール・真面・ハローです。ライブレポを書いたのはこの記事が初となりますが、今後も良いライブに出くわせば書いていきたいなと思っています。

最後になりましたが、両バンドとも大好きなので、この組み合わせでたくさんライブをしてほしいなと思っています!!!!!
〇kao&時速36km好き同士良かったら繋がりましょう!フォロバします*

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